大草原モンゴルに何が?知られざる最悪の大気汚染の実態。

見渡す限り大草原と澄み渡る青空。そんなモンゴルが世界屈指の大気汚染大国だったとは行くまで気づかなかった。

今回モンゴルに行く機会ができ、滞在中に気になったモンゴルでの大気汚染の現状について記録しておく。

モンゴルの現状


上記の画像は、1月のモンゴルの首都ウランバートルの大気汚染度を示すものである。

0-50…大気汚染の問題なし
50~100…少し問題あり
100~150…健康に悪い
150~200…不健康
200~300…非常に健康に悪い
300~…危険

日本はだいたい0~50くらいで世界でもトップクラスの空気が綺麗な国である。しかし、中国・インド・バングラディッシュの一部の地域は大気汚染度数300を超えている。モンゴルの首都、ウランバートルも同じである。

モンゴルでは人口の集中が問題になっている。モンゴルの人口は2019年で約320万人。そのうちの半分の150万人がウランバートルに住んでいる。モンゴルの第二の都市のダルハンの人口はたった8万しかいない。日本でも東京に人が集中し人口1400万人と言われている。しかし、まだ救いなのは、北海道、神奈川、名古屋、大阪、福岡といった大都市が点在することだ。

モンゴルの大きさは日本の4倍ある。首都ウランバートルの大きさは和歌山県とほぼ同じである。これを聞いただけだとそこまで問題ないように思える。しかし、モンゴルらしいあの建物が大気汚染の問題を引き起こしていた。

それはゲルである。

みなさんも日本の教科書で一度は目にしたことがあるゲル。白い布で覆われて円筒状の外観は愛らしさを与えてくれる。屋根から出るモクモクした煙はおとぎ話の世界に感じる。しかし愛らしさとは別に世界屈指の大気汚染を招いていた。原因の大きな一つは、遊牧民が遊牧を捨てて職を求めてウランバートルにゲルを張り定住化をしていることにある。

日本の場合、マンションやアパートがあり人が増えても対応できるが、モンゴルではまだまだ一般的ではない。郊外からやってきた人は、敷地内にゲルを張っていく。だから人が増えるごとにどんどん横に家が増えていく。


モクモクでる煙はストーブから出る石炭と木炭である。モンゴルでは石炭が主な産物となっている。このストーブで調理をしたり、暖かさを保つ効果があるので一石二丁の効果がある。しかし一回ストーブに石炭を入れると約3時間しかもたない。だから1日に何回も入れ直さないといけない。

モンゴルの冬は寒い。冬といっても期間は長く9月上旬からマイナスの気温になり、12月には氷点下20~40度になり4月頃まで寒さが続く。アパートは二重窓になっており冷気の侵入を防ぐ。さらにセントラルヒーティングという火力発電で温められた冷却水を各家庭に供給していることもあり、部屋の中は外気温マイナス30度でも暑さを感じるほど。

しかしゲルには暖かさを保つ機能がないのでゲルにストーブが必要となってくるのである。でないと一夜で凍死してしまう。

私が泊まったゲルは屋根に直径15cmほどの通気用の小窓があった。しかし小窓は壊れていて、風が吹くたびに凍るような寒さの風が入ってきた。寝るときは極寒でも耐えれる寝袋に、服を7枚重ね着して寝たもののそれでも寒さが残る。私は夜中、熟睡してるときに起きるのは慣れていない。なので、2.3時間毎に起きて、自分で石炭を焚くために起きるのは慣れていない。

ストーブの暖かさが切れ、凍るような風がゲルの中に吹きゲル内は徐々に外気温と同じようになる。熟睡している私を足の冷えから上半身に移っていき死へと追いやっていく。幸い私が泊まったゲルは夜中に持ち主が定期的に石炭を炊きにきてくれてたが、ストーブの炎が切れた数十分後だったため私にとって殺さず生かさずといった感じだった。

空気汚染加速させる原因


(画像引用)
ウランバートルは盆地になっており、中心部を囲むようにゲルが立つ。ゲルからモクモクでてくる白い煙がウランバートルの盆地にフタをすることで大気汚染へ導いていたのだ。特に冬になればなるほどみんなストーブを使うので大気汚染は悪化していく。

家賃はマンション一室月に5万円ほど。モンゴル人の一般的な給料の2倍なので住むことができない。そうなると、郊外にゲルを張って暮らすしかなくなる。郊外に住むゲルの数は2015年で約20万世帯、アパートに住むのが15万世帯となっている。

私たち外国人からすると、モンゴル人は全員ゲルに住んでいると思われがちだが、モンゴル人からすると貧困層が住むものと認識されている。なので私が台湾で知り合ったモンゴル人に、「モンゴルに行ったらゲルに泊まってみたい」と言ったときにビックリしたように驚かれた。

政府が進める政策


モンゴルを歩くと目につくものある。それはプリウスの車が多いことである。写真と撮れば必ず1台入るほどプリウスがよく走っている。その証拠に、何気なく撮った上記の写真を見ると、6台のプリウスが写りこんでいた。モンゴルで走る車の8割はトヨタ車である。その中でもハイブリッド車のプリウスを占める割合は高い。その理由は燃費がいいことと、故障をしないことがあげられる。さらに政府の助成金を合わさり人気が爆発した。


(画像引用)
ゲルが多く集まるゲル地区でも再開発も急ピッチで進められている。これまでゲルが建てられた地域にアパートを建て引っ越しを勧めるというものである。モンゴルの冬は寒い。生活する上で死活問題である寒さ対策が整えられているアパートは、引っ越した人の満足が一番高い。

10年後のモンゴルはどうなっているのか

この大気汚染の問題は10年以上前から問題視されていて対策を講じられてきた。都市が便利になれば、それを聞いた地方に住んでいる人たちがさらに押し寄せてくる。今度は都市集中化を避ける対策も必要になってくる。取材をしたゲストハウスを営むモンゴル人の女性オーナーによると、近年の首都集中型の影響で渋滞が著しく、10年前まで通勤に車で20分だったのが今では2時間近くかかるようになったという。

モンゴルの国家開発庁で働く男性職員に聞くとこんな話が返ってきた。「今は家族で中心地に近いアパートに住んでるけど、休日は子供連と一緒に郊外の綺麗な空気を吸いに行ってるよ。」

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